俺の名はキャブ、バイクに取り付く妖怪だ。
雪が舞い散るようになり、
人間界では「インフルエンザ」なる流行り病が
蔓延しているそうだ。
俺達妖怪の間では、
流行り病「なんでやねん」を警戒しなければならない
季節となった。
これは、妖力を使おうとすると、頭の中で
「なんでやねん なんでやねん」がリフレインし、
力が発揮できなくなるという 恐ろしい病である。
俺の仲間の女妖怪「木の柄」が、以前なんでやねん対抗ワクチンを制作したが、失敗に終わった。
副作用で、ワクチンを飲んだ妖怪たちが「イビピーオ」と
叫びながら徘徊するという恐ろしい事態になったのだ。
その悲劇はまるまる一晩続き、それを乗り越えたとき、
病が収まるという、飲むか飲まざるか!
非常に悩ましいワクチンだった。
しかし今年、ニャンニャン師匠指導の元、
ついに!新ワクチンが完成した!
悲劇を繰り返さないために、木の柄が自ら南国の離島に
おもむき、究極の材料「ジンベイザメの鱗」を手に入れたのだ!これさえあれば、副作用は皆無となる!はずだったが・・・
N
だから、そうじゃないんじゃよ!
量が多すぎるぞ木の柄!
K
ええ?だって師匠、せっかくこんなにたくさん仕入れたんだもの!
「ジンベイザメの う・ろ・こ♡」
どうせなら ばっ!と 派手に行きましょうよぉ!
N
しかしだなぁ・・・この秘伝書によると、
ほんの少し混ぜるだけでOKとかいてあるぞ!
あまり多く投入して、悪影響がでないものか・・・
K
師匠も心配性ですねぇ♪
大丈夫ですよぉ!
いきますよ!
ぶくぶくぶくしゅわぁーーーー!
N
うっ!うわああああ!えらいことじゃぁ!
木の柄、大丈夫か?
K
・・・ふふふふ・・・なんて素敵な色と香り♡
これなら、なんでやねん一発治療間違いないですよ!
し・しょ・お♡
N
うーん・・・心配じゃのう・・・
やはり実験してみないといかんなぁ。
誰か、実験台になってくれる妖怪はおらんかのう?
K
師匠、飲んでみますぅ?w
N
ばっバカを言え!年寄の身に何かあったら
どうするつもりじゃ!
木の柄!
お前が飲んだらどうじゃ!
K
あっあたしはぁ・・・ほらぁダイエット中だしぃ。
N
関係ないじゃろう!
ん?誰か来たみたいじゃぞ?
C
こんちはぁ~師匠。
N
おお!キャブではないか!
飛んで火に入る夏の虫じゃぁ!
C
ああ?なんかおっしゃいましたか?
N
い、いやぁなんでもないw
K
きゃぶう!いいところに来たねぇ!
C
ふたりとも元気っすねぇ・・・実は、
流行り病にかかっちまったみたいで・・・
例のワクチン、出来上がってないかなぁと思って
来てみたんですよ。
N
(おい木の柄!これはチャンスじゃぞ)
K
(そうですね♡師匠♡)
C
ん?なんすか?
N
いやいやなんでもない!
喜べキャブ!たった今ワクチンが出来上がったところじゃ!
C
本当ですか!それはありがたい!
今朝から、バイクをいじろうとすると「なんでやねん」が
脳内でリフレイン!仕事にならないんすよ!
早速分けてください!
N
よ、よしよし。
おい、木の柄。
K
あいよ師匠♡
ささ、キャブ、こっちにおいで!
今ついであげるからさ♡
ロックグラスに一杯、なみなみと注がれたワクチン。
なにやら、磯臭い香りと、ドロっとした緑色の液体が
なんともいえない・・・
まあしかし、なんでやねんを治すにはこれしかない!
なにせ、伝説のジンベイザメの鱗入りだからな!
C
では、いただきます!
ごきゅ!ごきゅ!ごきゅ!
ぷはぁーーー!
N
・・・どうじゃキャブ?気分は?
K
・・・キャブ?何固まってるんだい!どうなんだい?
C
・・・い
N
い?
C
い!い!い!
k
ま、まさか!
C
いびぴーお!いびぴーお!いびぴーお!
N
なんということじゃ!去年のワクチンより
むしろひどいじゃないか!
おい!木の柄!
k
だって師匠!ジンベイザメの鱗さえ入れれば
完璧だって師匠がぁ!
あら?キャブ?静かになったの?
キャブ?
C
いびぴーお?いび、いび、いびぴ!
いびぴーお!
K
ちょっとぉ 何言ってんのかわかんないよぉ!
C
いびぴ!いびぴぴぴ!いび!いびぴーお!
N
なんということじゃ・・・
いびぴーおしか言えない体になってしまったのか?
C
いび!い!い!いびぴ!
いびぴいびぴいびっっっぴぃいいいいいいい!
恐ろしい副作用だった。
俺は、脳内に「なんでやねん」のリフレインが
でなくなったかわりに、
なんと・・・一週間「イビピーオ」しか言えなくなってしまったのだ!
しかし、それ以外はすこぶる体調が良く、
仕事は続けることができた。
・・・会話を除いて。
この話には後日談がある。
なぜ副作用が「イビピーオ」になってしまうのか!
その原因は意外なところにあった・・・
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